名前のないワイン会
~このワインを受け入れ共に飲もう名前のないワイン会で~
2022/07/01 開設
2008年11月23日(日)
アメリカワイン会
2006 イザベル ピノ・ノワール
【 オー・ボン・クリマ 】
NewYorkにて購入
2005 リオ・ビスタ ピノ・ノワール
【 ブリューワー・クリフトン 】
ロンドンにて購入
2005 エイドリアン・フォグ
サヴォイ・ピノ・ノワール
【 サヴォイ・ヴィンヤード 】
2005 ケイマス・ヴィンヤード
カベルネ・ソーヴィニョン
スペシャル・セレクション
【 ケイマス・ヴィンヤード 】
NewYorkにて購入
2003 へスタン・ ヴィンヤード
カベルネ・ソーヴィニョン
【 へスタン・ ヴィンヤード 】
NewYorkにて購入
1998 カレラ・ジャンセン
ピノ・ノワール
【 カレラ・ワイン・カンパニー 】

2008年は事情によりブルゴーニュ訪問は行わず
代わりにある用事でニユーヨークを訪問したので
その時に購入したワインでアメリカワイン会
正式にはカリフォルニアワイン会を企画しました。
カベルネ・ソーヴィニョン2本と
ピノ・ノワール4本という内容でしたが、
申し訳ありませんがカベルネの記憶は
微塵も残っていません・・・
カレラとオー・ボン・クリマに関しては
これ以降も定期的に飲んでおり
評価もほぼ固まっているので、
この時も美味しく飲んだと思います。
ブリューワークリフトンはロンドンのとある
酒屋にいつも置いてあったワインなので
行く度に購入していましたが2012年以降は
現地へ行ってないので
しばらく飲んでいません。
確かシャルドネも美味しかった記憶が
残っています。
エイドリアン・フォッグはこの頃に
ワインショップを始めた知り合いから
「DRC並みのすごいピノ・ノワールがある」
と紹介されネットで購入した物です。
いざ飲んでみると確かに密度の詰まった
果実味を感じるワインで
高いポテンシャルに今後を期待しました。
ただ、2005年以降のヴィンテージがほとんど
入ってこなかったため、以降の追跡が出来ず
今に至っています。
今年の春先に同じヴィンテージのワインが
ヤフオクに出ているのを偶然見つけたため
入手しました。
果してあの味がどう変化しているか
近いうちに確認してみるつもりです。
ワイン会に出そうかな・・・
ここからは少し脱線してニューヨークへ行った
経緯とその顛末について書かせて頂きます。
ワイン関係ではないので興味のない方は
スルーして頂いて構いません。
このページの写真のディスプレイも
当時お世話になっていた酒屋さんの前オーナーが
作成された物です。
趣味人な方で色々な分野に興味を持たれていて
私と香港や台湾に食事旅行に行ったり、
ロンドンのアンティークマーケット巡りや
フランスのワイン生産地を何度か一緒に
訪問したりもしていました。
写真の撮影が非常上手く
プロ並みの腕を持っていると思っていたら
若い時は本当にプロカメラマンをしていたそうで、
アンティークマーケットで当時使っていた
ドイツ製のカメラを見つけた時は
長い時間カメラを触って子供の様な笑顔で
購入していた事を今でもよく覚えています。
この当時は週末よくその酒屋さんに遊びに行き
お店の片隅でワインを飲みながら
色々な話をしていましたが、
ある時若い時分にしたカメラマンの仕事に
ついて話してくれました。
それによると
1960年代に中国系アメリカ人の方と
日本の近代画家50人の取材を数年に渡って
行ったそうです。
取材後に彼の撮った写真を元に
「日本の近代画家50人」という美術書が
発行されたらしいのですが、
彼の手元には送られてこなかったので
あの仕事がどうなったのか
非常に気になっているという話を
ワインを飲みながら聞いていました。
この時はそれで終わったのですが、
その後とある用事で皇居近くの
東京都近代美術館に行く機会があり、
本の話を覚えていたので
アートライブラリで関連の書籍が無いか
調べてみました。
すると一緒に取材をしたアメリカ人の名で
「日本の近代美術」という本が1966年に
出版されていることが分かり、
蔵書リストに入っていたので
閲覧を申請し中身を確認しました。
内容は絵画だけではなく彫刻、版画や建築
まで載っており有名なところでは
棟方志功や岡 鹿之助の顔写真や
制作風景の写真が掲載されていました。
この本が目的の物か私だけでは
判断がつかなかったので蔵書のコピーを
考えましたがコピーは不可のため
学芸員に事情を話し相談したところ
近くの神保町に美術関連の古本屋があり
そこで手に入るかもしれないと言われたので
何件か書店を教えてもらい
その足で直ぐに探しに行きました。
運良く一軒目の書店で目的の本を
見つけることが出来たので
直ぐに購入して彼の元へ届けに行きました。
本を受け取ると食い入るように写真を確認し
自分が撮った写真が絵画のページに
何枚か使われていることを指摘して
物凄く喜んでいました。
この本を見たことで記憶が刺激され
あの仕事はニューヨーク近代美術館から
依頼されていた事を思い出しました。
ここまできたら乗りかかった船なので
早速MOMAのサイトにアクセスして
蔵書リストから該当するようなものは
無いから調べていきました。
すると、ありました!
1962年に同じアメリカ人の名前で書かれた
「今日の日本画家50名の紹介」という本が
ライブラリに今も保存されていることが
判明しました。
同じ本が手に入らないか色々探しましたが
ネット検索ではまったく見つからなかったので
企画段階で出版中止になった可能性もあり、
現物は当時はMOMAへ行かなければ
見れない状態でした。
そんな訳でこの年の旅行はブルゴーニュから
ニューヨークへと変更されました。
MOMAにはライブラリでの閲覧を事前に
予約していましたが、
いざ着いた時には目的の本と作家に関する
資料が既に机に用意されていたので
仕事の速さと的確さに流石MOMAだと
いたく感心した事を覚えています。
問題の本を確認したのですが、
ここで愕然となりました。
確かにBookと書いてありましたが
実際は100ページ程度の記事をまとめた冊子で
写真は一切載っていませんでした・・・
資料の前でしばらく呆然としていたことを
覚えていますが、直ぐに頭を切り替えて
本を書いた作家について出来るだけ
情報を集めて後で所在を確認することにし、
目的を本から作家へ変更しました。
MOMAにあった目ぼしい資料はコピーし、
まだ足りなかったので
ニューヨーク市立図書館へ行き
補足の資料を入手しました。
この甲斐あってか、この資料から後の
手掛かりを見つける事が出来ました。
本の捜索が一段落したのでその後は
ニューヨーク観光を満喫しました。
まずは9/11のグランドゼロに行き、
当時まだ何もない状態の跡地に献花を行いました。
付近には当日の様子を知らせる記念館の様な
チャーチがありその生々しい内容に思わず
うつ向いてしまった事を覚えています。

その後は市内のワインショップをハシゴして
カリフォルニアやブルゴーニュのワインを買いました。
今は分かりませんが当時は日本よりもかなり割安に
購入出来た気がします。


残った時間はニューヨークの市内観光に使い、
ブルックリン橋&自由の女神観覧クルーズ、
メトロポリタン美術館見学、セントラルパーク散策
現地のデパートや高級食材店ゼイバーズでの買い物など
思い切り満喫させて頂きました。
香港やロンドンで活気のある猥雑な大都会は
既に経験していましたが、
ニューヨークはまた違った趣があり
機会があればぜひ再訪したいのですが、
物価高には流石に少し参りました。
当時よりは収入もそこそこ上がっているので
次回は少しリッチに過ごしてみたいです。
日本に帰国して直ぐに学生時代の友人が
胃ガンで無くなったとの連絡を受けました。
ニューヨークから浮かれて帰ってきた自分は
この一件で急に現実に引き戻され、
人生終わりが見え隠れする年代に入った事を
否が応でも認識するようになり、
残りの人生で何があるのか分からないが
なるべく悔いのないように生きようと
心の中にひっそりと誓ったことを
今これを書いていて思い出しました。
そんな思いを胸に秘めつつ、
持ち帰った資料を精査してアメリカ人作家の
行方を捜してみました。
大きな手掛かりとして80年代に
京都の大学で教鞭を執っていた事が
資料の中に載っていました。
他に有力な手掛かりも無かったので、
その大学の総務宛にメールを送り、
今までの経緯の説明と
件の作家が今どこに住んでいるのか
知っている様でしたら連絡して欲しいとの
要件を伝えてみました。
すると数日後に丁寧な返信を頂き、
だいぶ前に退任されたので
詳しい連絡先は分からないが、
何年か後にインドネシアのバリ島で
宿の経営を始めたとの近況報告が入ったので、
その宿の名前と場所を教えて頂きました。
今度は南の国の訪問を覚悟していましたが、
幸運にも酒屋の常連客の中に息子さんが
バリの領事館に勤務されている方が
いましたので、その方を介して連絡して
頂けることになりました。
しばらくすると現地から報告があり、
作家の方は今もご存命でバリで余生を
過ごされているとの事でした。
近いうちに東京に行く用事があるので
その時に教えて貰った住所を
訪問するとの伝言もあったそうです。
私も少し関わった身なのでその対面には
ぜひ立ち合いたいと考えていましたが、
残念ながらタイミングが合わず
後になってオーナーから
再会のいきさつを聞かされました。
作家の方がお店を訪れた時、
運悪くオーナーは少し離れた場所にある
レストランでワインの試飲パーティーを
開催していましたが、
その話を聞かされた彼は
直ぐにそのレストランに向かったそうです。
パーティーの会場に年配の方が入ってきて
周りを伺っていたので、
なんだろうと思い声をかけたところ
振り向きざまに目が合った瞬間
お互いの存在をすぐ理解した様で
約50年振りの再会に互いに抱き合って
涙したそうです・・・
その後長い時間色々と話をし、
例の本はやはり出版されなかったそうで、
写真は当時印刷を依頼していた
東京の美術出版社に預けたままに
なっていることを知らされたそうです。
その後彼が写真を探しに行ったとの話しは
聞いていないので、
多分本当にしたかったことは
あの作家さんとの再会だったのではと
今は思っています。
残念ながらオーナーはこの数年後に
鬼籍に入られてしまったので
この事を確認することは出来ませんが、
再会を果たした後は事あるごとに
この件について嬉しかった、
ありがとうと言っていたので
たぶんそうだと思います。
長々とお付き合いありがとうございます。
この会の記事を書くに当たり
このエピソードがどうしても頭から離れず
場違いだとは知りつつも
この欄に書かせて頂きました。
私にとってはワインは人との縁を繋ぐ
飲み物でもあるので、
これからも末永く大切に付き合っていこうと
思っています。